私は異世界の魔法使い?!


「……なっ、なに? なんか変?」


スカートがめくれていないか、背中のファスナーが開いていないか、隈無くチェックしてみる。

もしかしたらやっぱりさっき切られたところが破けていたのかもしれないな、ってそう思ったけど、そんな不備は見つからない。


じゃあ、なに?


「……とにかく着替えたのなら、来い」


カイトの止まっていた時が動き出した瞬間、私に背を向け部屋を出てゆく。


「なっ!? 何それ! ちょっと待ちなさいよ」


一体なんだというのか。

よく分からないが、とりあえずカイトについて部屋を出た。

再び廊下に出て、ズンズン進んでゆくカイトの背中を駆け足で追いかける。


身長は少し私よりも高いけど、そんなに足のリーチは変わらないはずなのに……なんて考えると無性にムカつく。

そもそもこんなに早足で先に歩いて行ったら意味無いよね?

私の今のポジションって囚われの身じゃないの?

逃げてもいいの?


……まぁ、そんな事はどうせ無理なんだろうけど。



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