マリー
「余計な心配はしない。大丈夫だし、そんなことを言ったら怒るよ」

 真美は腰を手にあて、上半身を前方に乗り出してきた。

「本当に?」

「本当。約束」

 そう言うと、真美は知美に小指を絡めてきた。

 知美は目頭が熱くなるのを感じ、頷いていた。

 
 前田の家の家事は台所近辺の出火が原因とされた。前田の母親は頑なに火の管理はしていたと否定していたが、その決断が覆されることはなかった。


 知美の真美と過ごす時間は増加の一途をたどっていた。真美がはっきり言った事で、知美の陰口を叩く人はいたかもしれないが、以前のようにあからさまなものはなくなっていた。

 学校は楽しいとは言い難いが、知美にとって真美と過ごす時間は他の何よりも楽しい時間だった。将や伊代にも真美との間にあったことを良く聞かせるようになった。
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