マリー
 まぶしい光が部屋に差し込んでくる。知美は重い体を起こし、ベッドから身を起こす。

 学校に行かないといけない。そう思ってから、今日は休みだと気づく。

 昨日は美佐にプリントを見せる事ばかり考えていたが、良く考えると今日でも良かったのだ。

 自らが取った早とちりな行動を思い出し、ため息をついた。

 今日は母親も仕事が休みのはずだ。

 昨日の今日で母親と顔を合わせる気はしなかったが、そんな理由で一日中寝ていても意味がない。

 重い体を突き動かすように立ち上がると、軽い眩暈を覚える。

 それでも何とか部屋の扉を開けた。

 だが、リビングはしんと静まり返っている。

 母親は休みの日にあまり出かけることはなく、ごはんを作るとき以外は部屋に閉じこもっている。

 知美はリビングの奥にある母親の部屋をノックした。だが、返事はない。

 ノブに手をかけて、首を横に振る。勝手に開けて叩かれたこともあるので、扉だけはあけないようにした。トイレやお風呂にも彼女の姿はない。


最後に玄関に行く。いつも母親が履いているスニーカーがなかった。散歩にでも行ったのだろう。
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