マリー
 まだ太陽が一番高い位置に上るには早い時間だ。

 伊代は知美も病院に行こうと誘ってくれたが、優子に遠慮をし、岡崎に用があると言い断る事にした。

 もっとも言い訳自体は嘘ではない。

「元気そうで安心したよ」

「おかげさまで」

 知美は気恥ずかしくなり、照れた笑みを浮かべる。

 あの日と同じ時が流れているとは思えない程、穏やかな時間だ。

「結局、どこまでが麻里ちゃんの関わっていたことで、どこからが事故だったんでしょうね」

 全て彼女のせいだといえば、そう思えなくもない。

 知美は夏休みの間、岡崎の家に頻繁に訪れるようになった。そして、過去の話をもっと詳しく聞かされた。中には原因が別にあるのではないかと思われるものも少なくないと知る。

「それはわたしにも分からない。きっと、彼女しか知らないだろう」

 知美は彼の言葉に頷いた。

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