マリー
 三人は寺を出ると、表から出る。そして、ぐるっと迂回する形で先程の駐車場に戻る。

 そして、車にもたれかかっていた優子と目があった。

 岡崎が挨拶をして、つられる形で優子も挨拶をする。

 岡崎は車の近くにいた伊代と言葉を交わし、知美についてくるように促した。

「あのさ、一緒に乗って帰らないの?」

 意外な人の問いかけに、知美はぎょっとして振り返る。

 優子は知美から目を逸らし、唇を尖らせる。

「校長先生に送ってもらう」

 無視できない性分なため、それだけを言い、岡崎の後をついていこうとした。

 だが、彼は知美の肩を軽く叩く。

「今日は一緒に帰りなさい」

 渋る知美に岡崎は、「大丈夫」だと言うと車まで送り届けた。

 知美が乗り込むと車が走り出す。将と知美が後部座席に座り、優子が助手席に座る。

 優子と同じ車にいるのはあまり嬉しくないが、両親の前で何かを言ってくることはないだろう。

 時折、将と知美が会話をするだけで、会話らしい会話が殆どなく家についた。
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