マリー
 家の前に付くと、車を降りる。後部座席を開けようとすると、将に止められる。

「重いから僕が運ぶよ。知美ちゃんは中で待っていて」

 促され、一足先に家の中に入る。

 玄関に入ると、リビングに入る。そこにはまだ整理の終わっていない美佐の荷物が積まれている。

 伊代は知美と目が合うと手を止め、優しく微笑んだ。

 知美は彼女の右わきにある箱に手を伸ばす。そこには美佐の履いていた靴が収められている。

「これ、どこに片づけるの?」

「物置にお願い」

 彼女は細かく場所を指定し、知美は箱を抱えて二階にあがる。そして、開きっぱなしになっている物置に入り、その奥にある積み重ねられた箱の上に置いた。

 一息つくと、辺りを見渡した。

 最初にきた時よりは随分物が増え、狭さを感じる。そのほとんどが知美と美佐の荷物だ。

 部屋に荷物を置きに戻ろうとした知美の視界に、卒業年度が記された中学の卒業アルバムが目に留まる。知美は何気なくそれに手を伸ばし、ページをめくる。その中に自分と似た顔を見付け、苦笑いを浮かべる。
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