マリー
彼はそれを知美の傍に置く。
伊代は手を伸ばし、箱の中身を確認する。
「これはそのままでいいわね。全部物置に入れて大丈夫かしら」
「いつでも出せる状態にしておけば構わないと思うよ。それか、両親の使っていた部屋に運んでも良いと思うよ」
知美は伊代のあけた箱の中に、美佐がいつも仕事に持っていくときに使っていたバッグがあるのに気づき、手を伸ばした。
バッグの内ポケットの部分に厚みがある。不思議に思いチャックを開けると、そこには薄い小型の国語辞典があるのに気づいた。大人になってもこういうのは必要なのだろうかと不思議に思い、手にとって見る。その中に一枚の写真があるのに気づく。驚き、目を離せないでいると、将が覗き込む。
「見当たらないと思ったら、こんなところに入れていたのか。その写真は僕が美佐に送ったんだよ。勝手に知美ちゃんの写真を撮ってね。見つかって良かったよ」
そこに映っていたのはまだ生まれたばかりで、肌触りのいい素材に体を包まれた頃の知美の姿だった。
「この写真、アルバムに」
「このままでいい」
伊代は手を伸ばし、箱の中身を確認する。
「これはそのままでいいわね。全部物置に入れて大丈夫かしら」
「いつでも出せる状態にしておけば構わないと思うよ。それか、両親の使っていた部屋に運んでも良いと思うよ」
知美は伊代のあけた箱の中に、美佐がいつも仕事に持っていくときに使っていたバッグがあるのに気づき、手を伸ばした。
バッグの内ポケットの部分に厚みがある。不思議に思いチャックを開けると、そこには薄い小型の国語辞典があるのに気づいた。大人になってもこういうのは必要なのだろうかと不思議に思い、手にとって見る。その中に一枚の写真があるのに気づく。驚き、目を離せないでいると、将が覗き込む。
「見当たらないと思ったら、こんなところに入れていたのか。その写真は僕が美佐に送ったんだよ。勝手に知美ちゃんの写真を撮ってね。見つかって良かったよ」
そこに映っていたのはまだ生まれたばかりで、肌触りのいい素材に体を包まれた頃の知美の姿だった。
「この写真、アルバムに」
「このままでいい」