マリー
 知美は先程まで聞こえてきた声が、夢の中で聞いたものと一緒だという事を思いだす。

「大丈夫? 学校で酷いことを言われたのよね」

 その言葉に知美の視界が滲んだ。

 知美は涙ぐんだまま頷いた。

「ここに住む人たちの多くはろくな奴らじゃないのよ。わたしはずっとあなたの味方よ。あなたを守ってあげる」

「どうやって?」

「わたしを学校に連れて行って」

「でも、先生に見つかったら」

「大丈夫」

 何も言わずに心を慰めてくれたからか、彼女の言う事を信じてみたくなった。

 知美は「分かった」とマリーに向かって返事をした。
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