マリー
 以前の学校の友達であれば、それは楽しいだろう。だがここでの友達が一生ついて回ると考えると、心が痛む。

 美佐もそうだったのだろうか。悪魔と呼ばれた彼女に友人がいるとは思えなかった。

「おばさんもずっとここに住んでいるの?」

 その時、知美の視界に更地になった土地が映った。

「わたしは少し離れていて、戻ってきたの。わたしの両親もここを出たのよ」

 伊代の車が駐車場に入る。そこにはこの場所には不釣り合いとも思える大型商業施設があった。周囲から来ている人も多いのか、駐車場も三割ほど埋まっていた。

「この辺りだと、ここが一番大きいの。もし、気にいるのがなかったら、週末にでも少し遠出しましょう」

 そう口にした伊代に連れられ、店内に入ると明るい音楽が響いている。

 やけに大きく感じるのは人の少なさだろうか。

 その音に飲み込まれないように、伊代の後をついていく。

 彼女の足が止まったのは英字で書かれた看板が天井に掲げられた店の前だ。アクセサリやピアスなどが置いてある。少し入ったところに便箋やペン、ノートなどが置いてある。

「もう一つ文房具屋にもあるから、良いのがなかったらそっちに行きましょう」

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