マリー
 だが、首筋や頬に僅かな温もりが残っていた。

 知美はマリーを探す。彼女の姿はいつものように机の上にいた。

 マリーと目があった気がして、夢の日の出来事を思い出していた。心が安らぎを覚え、自然と笑みが浮かぶ。

 学校の人たちと特に親しくしなくても構わない。マリーが友達でいてくれるし、昔の学校の友人もいる。理不尽なクラスメイトの態度をそうかたづけることにした。


 その日以降、マリーは知美の願いを叶えるように、頻繁に夢に出てくるようになった。その夢に出てくる彼女は愛らしく、とても優しい。


 知美は夢の中で彼女と語ることだけが楽しみになり、時間があるときはベッドに身を埋めることも増えていく。

 学校でもあの話以降、明らかな嫌がらせは減った。だが、より誰も知美に関わろうとしなくなった。それは担任だる高田でさえそうだった。だが、時折、知美の事を言っているのだろうと思う陰口が耳を掠める。
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