マリー
 真美の影響で軽くはなったが、終わってない事を痛感し、高田のところまで行く。

「他のみんなは分割で払っているんだが、お前はまだだよな。一応、家にも電話をしているから、伝えておくよ」

 知美は無言でうなずいた。

「クラスで親しい友人は誰がいる? 吉井と話しているのを見たことがあるが」

「クラスに友達はいません」

 そう答えるしかなかった。

「同じ班になりたいという人は?」

 知美は首を横に振る。

 高田も悟ったのか、それ以上は何も言わずに、知美に帰って良いと告げた。

 教室に戻ると、真美が手を振って迎えてくれた。

「帰ろう」

 笑顔で告げる真美の言葉に、知美は頷いた。

「わたしと同じクラスだと良かったのにね」

 下校途中に、高田に呼び出された件を話すと、彼女は大げさに肩をすくめた。

 知美もそうあってほしいが、曖昧に微笑むことしかできない。

 そう言ってくれる人がいただけでも、今は嬉しい。

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