マリー
第六章 火事
 笠井が転落してから二週間が過ぎた。教室は活気を取り戻しつつあったが、一部の人間以外は誰も知美とは関わろうとしなかった。

 それは高田も例外でない。例え、知美が忘れ物をしようと、宿題を不注意から忘れても、彼は「そうか」で終わらせる。周りも不満を持っていたようだが、彼の行動が問題になることはなかった。

 周りの鬱憤とした気持ちを察し、知美も出来るだけ周囲には近づかないようにしていた。

 学校に行きたくないという言葉を言い出せずにいたのは、将や伊代に迷惑をかけたくないという気持ちと、真美が出来るだけ知美と一緒の時間を過ごそうとしてくれたからだ。

 彼女は前言を撤回する事なく、知美の傍にい続けていた。

 笠井の件があってから、知美は彼女に自分と一緒にいないほうが良いと言った事がある。

 その時、真美から返ってきたのは「自分のことが嫌いか」という問いかけだ。

 知美はその言葉を否定し、真美まで巻き込まれてほしくないという本心を語った。


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