マリー
 氷のような美佐の一端をほんの少しだけ覗き見た気がした。


「ここから少し離れたところに私立の学校があるの。大変だったらそこに転校しても良いわ」

「どのあたり?」

「車で一時間程。歩いては無理だから、電車とバスを使うことになるけど」

「大丈夫。教えてくれてありがとう」

 理由を知り、少しだけ納得した。

 偶然であれば、いずれ周りも分かってくれるだろう。

 そして、同時に伯父夫妻にこれ以上迷惑をかけたくないと思ったのだ。

 
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