キミが泣くまで、そばにいる
「そうだよあっくん。キリンのこのつぶれた感じとか、ゾウの左右非対称な感じがたまんない!」
「ですよねですよね! 嬉しい! 分かち合える人がここに!」
朱里さんが黒髪を振り乱す勢いで首肯し、私の手を取る。
「今度ね、キタイチの個展があるの。よかったら一緒に行かない?」
「ええ!? 行きたい! お供していいんですか!!」
ふたりで盛り上がってLINEを交換していると、背後で「ぶふっ」と噴き出す声がした。
「なにアカツキ、まだキタイチのアートに文句でも」
「違う違う。知紗すげーなぁと思って」
私と朱里さんの手元を見て、王子は表情を崩す。
「朱里姉といきなり打ち解けてるから」
「はい?」
「知紗ちゃん、連絡するね」
アカツキと似た面差しの美少女は、きらきらと輝く目を私に据えて力強くうなずいた。