キミが泣くまで、そばにいる
「あら?」
月乃さんが目をぱちくりさせ、私は急いで頭を下げる。
「あ、こんにちは」
「ええと、確か」
「知紗」とアカツキが言うと、
「そうそう、知紗ちゃん!」
月乃さんは朗らかに笑う。
「いらっしゃい。遊びにきてくれたの?」
「朱里姉が会いたいって言ってたから、連れてきた」
アカツキは笑みを崩さずに言う。私も彼に従って笑顔をつくった。
「そうなの? あの子今ちょうど、図書館に行っちゃったところよ」
「すぐ帰ってくるでしょ。知紗、上がって待ってなよ」
「え、いえ、私」
「そうだ、知紗ちゃんもご飯食べてって! 朱里も夕飯までには帰ってくるだろうし」
「や、そういうわけには」
「あっくんの部屋でいいよね。リビングは今掃除中なの。さ、上がって上がって。飲み物持ってってあげる」
「いや、あのあの」