キミが泣くまで、そばにいる
にこにこマークみたいな笑顔の姉弟に挟まれながら、私は階段を上がった。
アカツキの部屋に入ると、月乃さんは麦茶とお菓子を置いて「ごゆっくり」とドアを出ていく。
とんとんと階段を下りる音が遠ざかり、部屋の中がしんと静まった。
ベッドと机と本棚とクローゼット。家の中と同じでアカツキの部屋もきちんと片付いている。
散らかり放題な私の部屋より、ずっときれいだ。
「座れば?」
「は……はい」
ぎくしゃくと手足を動かし、ベッドに寄りかかっているアカツキから少し離れてラグに腰を下ろす。
心臓が、びっくりするくらい脈打っていた。
男子の部屋に入るのなんて初めてだから、なにをどうすればいいのか分からない。どんな心持ちでいればいいのかも分からない。
アカツキにじっと見つめられ、頬が火照った。
「なんか、緊張してる?」
「いや、そんな、はは」
ローテーブルに頬杖をついて、アカツキはなおも私に視線を注ぐ。
それは笑みを剥がした素の表情だった。
目を合わせていられなくて、うつむく。膝の上で両手を握りしめた。