キミが泣くまで、そばにいる
「ど、どうしたの?」
「なんでも、ない」
テーブルに肘をつき、うなだれるように顔を隠してしまう。
「もしかして、また具合悪くなったんじゃ」
おろおろしながら手を伸ばすと、細い肩がかすかに震えていた。笑いをこらえているときみたいな細かな揺れに、思わずかっとなる。
「もう! 人が真剣に心配してるのに」
無理やり顔を覗き込んで、息をのんだ。
アカツキは真っ赤だった。
唇を噛み、眉を下げ、大きな黒目はうるんでいる。
目が合うと、彼はぱっと顔を逸らした。
何、今の顔。
ふいに胸が締め付けられた。肺が軋んで、痛みが走る。
まさか、と思う。
アカツキ、今――
「ほんとに……知紗は、なんでそんな」
彼が何かを言いかけたとき、
「朱里が帰ってきたわよー」
階下から、月乃さんの声が聞こえた。