キミが泣くまで、そばにいる
ハンバーグだと思ったら豆腐だったり、唐揚げだと思ったらおからだったり、とにかく手間暇かかっていそうだった。
「月乃姉は極度の健康志向でさ。ありがたいけど、毎日豆腐とか魚とか野菜ばっかだと嫌になってくるよ。味も薄めだし」
「え、もしかして、そのせいで」
見上げると、アカツキはふっと口角を持ち上げた。
「家があれだから、外では濃い味とか、身体に悪いもんが食べたくなるじゃん?」
「それでいつもカレーなんだ……」
「単純に好きってのもあるけどね」
言われてみれば、アカツキはカツカレーとかハンバーグカレーとか、肉がどっかりのっているカレーを特に好んで食べていた気がする。
「カレー王子の謎が解けた……」
「はは、カレー王子って」
「そういえば、お父さんとお母さんは?」
食卓に並んだらますます壮観だった美形姉弟を見て、私はふと思ったのだ。
こんな子どもたちを生み出したご両親もまた、さぞ美しいに違いないと。
それなのに、私が夕食をともにしたのは結局、井端三姉弟だけだった。