キミが泣くまで、そばにいる


 王子は体つきが細いけど、髪の色が派手だから不良だとでも思われたのかもしれない。

 それとも同じ男子でも、頭の天辺からつま先まで隙のないイケメンには、やっぱり気負うのだろうか。

 周囲よりも煌々と明るい駅の手前まで来ると、アカツキは足を止めた。出入りする人たちの邪魔にならない陰で、私に向き直る。

「じゃあ、知紗」

「うん、送ってくれてありがと」

 私をまっすぐ見下ろして、彼はかすかに口元を綻ばせる。自然な微笑みだ。

「ちゃんと睡眠とってね。みんなも心配するし。あと、カレーもほどほどに」

「はいはい」

 ため息をつくように笑う王子を見たら、なんだかほっと気持ちが緩んだ。

「じゃあ、また明日」

「あ、知紗。ちょっと待って」

「ん?」

 振り向くと、アカツキの両手が私を包むように伸びてきた。

「え――」

 思わず、息を止める。

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