キミが泣くまで、そばにいる

1 つけないの?



 * * *
 
 言いまちがい、聞きまちがい、勘ちがい。

 人間が犯しそうなありとあらゆる過ちや錯覚を真剣に考慮した結果、私はひとつの結論にたどりついた。

 わかった。

 アカツキは目が悪い。

「あ、ちーちゃん、そのシュシュ可愛いー!」

 ぎくりとして、机に置いたカバンに両手をかぶせた。

「お、おはようレミ」

 前の席に荷物を置くと、レミはニコニコ笑って私の机を指さした。

「つけないの? 似合いそう」

 うちの高校は、頭髪の色に関しては生活指導の厳しいチェックが入るけれど、髪型やヘアアクセサリーに関してはわりと緩い。

 だから女子の中には、きらきらした髪ゴムや派手なシュシュをつけている子もいる。でも私にそんな勇気はなかった。

 腕に嵌めることすらためらわれて、結局カバンの取っ手にくくりつけることで落ち着いたのだ。

「でもめずらしいね。ちーちゃんがそういうの持ってくるの」

「だよね! 変だよね!」

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