キミが泣くまで、そばにいる
仕方なく顔を上げ、ぎゃははと笑い声のするほうに目をやると、イケメントップ5が女子たちに囲まれながら昼食をとっていた。
私たちとは違う色のネクタイをした女子生徒たちが、1年の取り巻き女子をはじき出す勢いでセイたちに話しかけている。
遠ざけられたほうは、怒りの形相で上級生女子を睨みつけていた。
あのあたりでは、戦国武将も真っ青の女の闘いが繰り広げられているようだ。
イケメントップ5の取り巻きやファンたちは、彼らに少しでも気に入られようと必死だ。
スキあらばプレゼントを渡そうと試み、スキあらばスキンシップを図り、彼らの『特別』になろうと頑張っている。
そんななか、アカツキに構われているにもかかわらず、その状態を取り巻きたちに受け入れられている私は、きっと異質な存在だ。
でもそれが許されているのは、私が犬だからだ。
アカツキとは種族が違うから。
じゃあもし、彼が私を『犬』だと思っていなかったら――?