キミが泣くまで、そばにいる
・
テーブルにうつぶせになったトワくんの頭を、アカツキがにこにこ笑いながら丸めたノートで叩く。
容赦ない一撃が、スパーン! と店内に響いた。
「寝るなよトワ。期末まで時間ないぞー」
「ちょっと休憩……」
「中間が壊滅的だったって泣きついてきた人―?」
アカツキの呼びかけに、トワくんが「わーったよ」と起き上がり、頭をがりがり掻く。
いつものファストフード店の、いつもの奥まった席だった。
期末前の部活停止期間だから、今日はダイチくんがいる。その代わり、セイの姿がない。
「期末前にデートとか、余裕のセイがうらやましいよ」
数学の教科書をめくりながらダイチくんがぼやくと、トワくんが「へっ」と皮肉っぽく笑った。
「セイの場合は余裕じゃなくて、はじめから捨ててんだって」
黙々と問題を解いている高槻くんと、おしゃべりが止まらなくなってアカツキに怒られるトワくんとダイチくん。女子から絶大の人気を誇るイケメングループも、定期テストには敵わないようだ。