キミが泣くまで、そばにいる


「た、高槻礼央くんに一票!」
 

向かいのベンチの左端。高々と挙げた私の右手に注意を向けていたレオくんが、きょとんと瞬きをした。
 
その瞬間、


「くそっ、レオかよ」

「うわー外れたぁ!」

「絶対俺だと思ったのになぁ」
 

イケメンたちが騒ぎ出す。


「え、え……?」
 

戸惑っている私の前で、彼らはそれぞれ財布を取り出した。


「レオ以外は150円徴収な―」
 

4人分のお金がセイの手元に集まると、アカツキにぽんと肩を叩かれた。


「じゃ、知紗。よろしく」

「へっ?」
 

にっこり微笑んで、彼は中庭の隅を指差した。


「その金で人数分、ジュース買ってきて」

「悪いね知紗ちゃん、俺はスポドリ」
 

ダイチくんが言った瞬間、声が乱れ飛ぶ。

「俺コーラ!」

「俺も! レオは?」

「……グレープ」
 

セイからお金を渡され、呆然としていると、


「俺はイチゴミルクね」
 

アカツキがダメ押しのように微笑んだ。


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