キミが泣くまで、そばにいる
「あいつ、兄ちゃんだからな。年の離れた弟がいて、いっつも迎えに行ってんだよ」
トワくんが鼻と口のあいだにシャーペンを挟んでもごもごしゃべる。それを見たダイチくんも姿勢をくずした。
「そうそう、偉いよなーレオは」
「チーコは兄弟いねーの?」
「私、ひとりっこ」
シャーペンを手に持ち直し、トワくんは伸びをした。
「じゃあ俺と一緒か」
「え、そうなんだ」
ちょっと意外だった。みんなのいじられキャラなトワくんは、どことなく上に兄弟がいそうに見える。
「ダイチくんは、兄弟は?」
「俺は中学生の妹がいるよ」
「あ、なんか分かるー。溺愛してそう」
「いやーそんなことないけどな」
「当たってるじゃん。ダイチの妹の可愛がり方、見ててキモ――」
トワくんが言葉を切って、私は背後に気配を感じた。ふたりが急に姿勢を正す。
「アカツキ。俺ら、わかんねーとこ教え合ってただけだから」
「そうそう、ちゃんと勉強してたよ俺たち」