キミが泣くまで、そばにいる
「あいつら、どこいった?」
「アカツキと高槻くんは帰った。トワくんとダイチくんはバッティングセンターに行ったよ」
「ちっ、そっちか」
めんどくせーときびすを返すセイの腕を、とっさに掴む。
「ねえ」
「あん?」
金髪男が振り返った。
自分でも驚いて、手を放す。
引き止めるつもりはなかったのに、身体が勝手に動いてしまった。
「なんだよ」
不機嫌そうに見下ろされ、言葉が出てこない。
何度も言いよどみ、ようやく口にする。
「その、アカツキの、ことなんだけど……」
セイはアカツキと同じ中学校に通っていた。トワくんたちと違って、中学時代の微笑み王子を知っている。
アカツキの姉ちゃんはふたりとも美人、なんて言ってたくらいだし、家族のことも把握してるはずだ。
セイはきっと、私の知らないアカツキを、知っている。
自分に言い聞かせるように唇を噛み締めて、金髪男を見上げると、
「アカツキがなんだよ」
面倒そうにため息をついて、セイは正面の席にどかっと腰を下ろした。