キミが泣くまで、そばにいる


 だらしなく座ったまま、置いてあった私のジュースを当然のように飲み始める。

 関節キスとか、この人の次元ではどうでもいいことらしい。いや、私のことを女の子だと思っていないだけか。

「アカツキって、その、学校と家で、違くない?」

 どう聞けばいいかわからず、たどたどしく言葉にする。

 セイは黙っていた。

 私に目を据えたまま、じっと座っている。

 どうやら私の言葉を待っているらしい。

 人の話を聞く態度を取るなんてめずらしい。それだけ真剣に耳を傾けてくれているのだと分かり、私は頭を整理しながら先を続けた。

「いつも笑ってるけど、なんか、無理してるように見えて。家の中でもそうだったんだよ。お姉さんたちに対して、不自然なくらい明るい笑顔見せてて」

 言いながら、なぜか不安がこみ上げた。

 アカツキの様子が変だなんて、もしかすると全部私の妄想かもしれない。
 こんなことを人にしゃべるなんて、余計なお世話かもしれない。

 それでも、もやもやと膨らんでいくものを、胸に留めておけなかった。

「セイ、何か知らない?」


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