キミが泣くまで、そばにいる
「しないよそんなこと!」
大声が出た。
はっとして周囲を見回す。
ざわざわと賑わっている店内で、女性客がちらちらこちらを見ているけれど、私の声で振り向いたというよりは、セイを見てそわついている感じだ。
ちいさく咳払いをして、私は声を落とした。
「脅したりなんか、しない。ただ……気になって」
アカツキのことばかり考えてしまうせいで、なんにも手につかない。
自分の心を落ち着かせるためにも、知りたい。アカツキのことを。
「ふうん」
つまらなそうにつぶやいて、セイは席を立った。
「ちょっとセイ、話はまだ」
「教えない」
カバンを担ぐように持ったまま、彼は私を見下ろす。
強い瞳だった。
「今のちィには、まだ」
どこか試すような視線を残して、金髪男は女子たちの視線を一身に浴びながら、自動ドアを出て行った。