キミが泣くまで、そばにいる


 女の子みたいに可愛い微笑み王子と違って、トワくんは眉と目のあいだが狭く凛々しい顔つきをしている。

 半袖シャツから伸びた腕は、細いと思っていたのにしっかり筋張っていた。

 全身から発せられるフェロモンとでもいうのか、”男子”を感じさせる気配に、心臓がおかしな音を立てる。

「あ、あのあの」

 整った顔が近づいて、鼓動が早まる。

「トワく」

「俺をからかおうなんざ、10年はえーんだよ」

 耳元でぼそっと囁かれ、めまいを覚えた、そのとき。


「何、してんの?」

 トワくんの後ろに、砂色の髪が見えた。

「ああ、アカツキ。お前、飼い犬のしつけが――ぐえっ」

 振り返ろうとしたトワくんの首を腕でホールドし、アカツキは私から引き離すように彼を抱え上げた。

「なに、すんだよっ!」

 咳き込むトワくんに、「ああ、ごめん」とにこにこ答える。

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