キミが泣くまで、そばにいる
呼吸を整え、こめかみから垂れる汗をぬぐった。
思い出されるのは、アカツキの表情だ。
あんなふうに焦ってる顔、見たことない。
アカツキの様子を絶えず見守っていれば、何かわかるかもしれない。
笑顔を使い分ける彼の心情を、理解できるかもしれない。
そう思ったのに、全然見えてこない。
アカツキの抱えているものが、わからない。
生徒たちがばらばらと帰っていく歩道の真ん中で、立ち尽くす。
「どこに、行ったの……?」
結局、私には、何もできないの――?
「お前、あからさますぎ」
背後で声がした。
「ただ追っかけ回してりゃいいってもんじゃねーんだよ、バカちィ」
イチョウの葉からこぼれた太陽の光が、金色の髪をきらりと光らせた。