キミが泣くまで、そばにいる

3 笑いたいから…




 青空の下に白亜の建物がどんと鎮座している。

 高さの違うビルを三つ並べてくっつけたような形だった。屋上付近の目立つ場所に、立体文字の看板が取りつけてある。

 星野総合病院。

 セイに教えられた住所をもとに、たどり着いた場所。

「えっと、3号棟の3502号室……」

 自動ドアをくぐって、立ちつくす。

 バスケ部のときに指を骨折して近所の整形外科に行ったことはあるけれど、こんなに大きな病院には来たことがない。

 待合室の椅子に座ったお年寄りや、窓口で忙しなく動く受付の女の人。大勢の人間がいるのに、賑やかな雰囲気ではなく、重苦しい。

 悪いことをしてるわけじゃないのに、逃げ出したい気分になった。

 帰ろうか。

 自動ドアをくぐって外に出れば、私は何も知らないまま、これまで通りに過ごしていける。

 きびすを返そうとしたとき、セイの言葉が頭をよぎった。

 ――……どうすんの?

 唇を噛み、拳を握りしめて、私は目についたエレベーターへと乗りこんだ。



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