キミが泣くまで、そばにいる



「頭、ぽんってして?」
 

私の言葉に、先生は不安そうに眉を下げる。


「……ほんとに、何かあったんじゃないの?」

「なんでもない。でも頭だけ……」
 

先生のぬくもりを感じれば、乗り越えられる気がするから。
 
心配そうに私を見ていた先生が、小さくため息を漏らした。
 
節ばった大きな手に、ぽんと、頭を撫でられる。


「知紗は我慢強いけど、無理はしないようにね……」
 

触れた手の感触。

それだけで、自分が無敵になったような気がするから不思議だ。


「うん、大丈夫。ありがと、先生」
 

笑顔を見せると、先生も少し安心したように笑ってくれた。
 


去っていくスーツの背中を見送って、息を吐き出す。
 
とりあえず、ジュースを買って戻らなきゃ。

自販機のボタンに手を伸ばそうとした瞬間、


「やっぱり付き合ってたんだー?」
 

背後から低い声が聞こえて、ぎくりと身体がこわばった。


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