キミが泣くまで、そばにいる
「微笑み王子がいないと、このクラスってすっごい静かなんだね」
私の机に頬杖をついて、レミがぽつりと言う。
いつも人だかりができていた窓側の席は今、しんとしている。
取り巻きの女の子たちは、別のイケメンを求めてほかのクラスに遠征しているらしい。
アカツキという黄色い花が咲いていないと、ハチも蝶も、集まってこない。
教室から何か大切な物が抜け落ちてしまったような不安定さを、みんなも無意識に感じ取っているのか、教室内はどことなくそわついている。
と、廊下がにわかに騒がしくなった。
「あー久しぶり!」
「どーして休んでたのぉ?」
女の子たちの声に、私は勢いよく顔を上げる。
取り巻きに囲まれながら、アカツキがドアをくぐって教室に入ってくるところだった。