キミが泣くまで、そばにいる
ここ数日、何度も連絡しようと思って、でも何を言えばいいのかわからなくて、結局、電話もメッセージも送れなかった。
私はただずっと考えてた。
いろんな表情を、思い出してた。
そのアカツキが、今、教室にいる。
「ちょっと、夏風邪で」
アカツキはいつもと同じ派手な頭をして、顔にこぼれそうなほどの笑みを浮かべていた。自分の席に向かう途中で一度、こちらを見る。
目が合った瞬間、胸が詰まった。
「あれれ、元気だね」
レミの声が、遠くに聞こえる。
心臓が、痛い。
「ちょっとトイレ、行ってくるね」
「え、もう先生来るよー」
私は廊下に出た。
胸がズキズキして、息がうまく吸えない。トイレじゃなくて、保健室に行ったほうがいいのかも。
教室の笑い声が、廊下にこぼれてくる。
肺の中のものをすべてぶちまけるように、息を吐いた。
空っぽの目で笑うアカツキを、見ていられなかった。