キミが泣くまで、そばにいる


 アカツキの表情も、教室で見たときよりは嘘がないように思える。

 いつものように、セイは偉そうな態度で指を突きつけ、アカツキにわけのわからないことを言っている。

 王子は王子で、横暴なセイの要求を笑顔のまま、さらりとかわす。

 アカツキ……ちゃんと、楽しそうだ。

 そう感じて、ふいに思い出した。

 ――ただ、あいつの仲間でいるだけだ。

 いつかのセイの言葉が、胸の中でずしんと重みを増す。

 それこそが本当に、アカツキが求めていることのように思えた。

 何かをしてほしいんじゃなくて、ただ、いつもどおりでいてほしい。


 トワくんに罵声をあびせるセイを、そっと見やる。

 バカだし、わがままだし、人を見た目で判断するし。


 どうしようもないヤツだと思っていたけど……セイって本当は、結構すごいヤツなのかな。
 

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