キミが泣くまで、そばにいる
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日が落ちても、湿気が多いせいか、気温が高い。
「もうすぐ夏休みだなー」
駅に向かって歩きながら、アカツキがつぶやく。
ふたりだけだった。
お店を出てから、セイとトワくんは大学生主催のコンパに向かった。セイの彼女から突然連絡があり、来てくれと誘われたのだ。
トワくんは面倒くさいと言って嫌がっていたけれど、セイに無理やり連れ去られた。
「知紗は夏休み、どっか行くの?」
歩道をぼうっと歩いていたら、となりから顔を覗き込まれた。
「え?」
「だから、夏休みの予定」
「ううん、まだ何も決まってない」
「そっか」
車のライトと、信号と、街灯と、ビルの明かり。
太陽が見えなくなっても、国道沿いは明るくて、にぎやかだ。
何気ない顔ですれ違っていく人たち。
このなかに、泣きたい人は、どれくらいいるんだろう。
私はとなりに目をやった。