キミが泣くまで、そばにいる


 まっすぐ前を向いたアカツキの瞳に、信号の色が映っている。

 いつ見ても、均整のとれた横顔だ。

 でも、どことなく顔色が悪い。

 あまり寝ていないのか、目の下にもうっすらクマができていて、全体的に疲れている感じがする。

 それなのに、アカツキは笑う。

「じゃあさ、一緒に夏祭り――」

「ねえアカツキ」

 呼びかけたら、大きな目がぱちんとまたたいた。

「なに?」

「……泣いた?」

 私の質問で、時間が止まった。

 クラクションの音が聞こえ、固まっていたアカツキの顔が、くしゃっと崩れる。

「はは、なんで泣くの?」

 笑いながら、彼は前を向く。私には目を逸らしたように見えた。

「心配しなくても大丈夫だよ知紗。気持ちの整理はとっくについてるから。それより今は」

「本当に?」

 私は足を止めた。
 通行人が、迷惑そうに横を流れていく。

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