キミが泣くまで、そばにいる
「昨日のは見間違いじゃなかったんだな」
振り返ると、微笑み王子が笑みをたたえて近づいてくる。
「あの佐久センがねぇ。意外だな。生徒とイケナイ関係なんて」
「あ、アカツキ……なんでここに……?」
声を上ずらせる私を見て、彼はニッと唇を伸ばした。
「さすがにひとりじゃ持ちきれないかなと思って、手伝いに来たんだけど……」
私の手にある缶を一瞥すると皮肉っぽい笑みを浮かべる。
「面白いもの見ちゃったなー」
「な……なんのこと?」
先生は私の頭を撫でてくれただけだ。
それくらいのことなら、ほかの教師だって生徒にやっている。
ふたりが先生と生徒以上の関係だということの、証明にはならない。
そう自分に言い聞かせてアカツキを睨みつけると、彼はふっと表情を崩した。
「無理して強がってんの、ばればれだよ、知紗」
大きな身体が間合いを詰めてきてあとずさると、すぐに背中が自販機にぶつかった。