キミが泣くまで、そばにいる

2 …飼う?



 * * *

 教室に入った瞬間から、空気が違った。

 いつもより明るい。

 クラスメイトたちはみんな、今朝この世に誕生したばかりですとでもいうように、生き生きしている。

「ちーちゃん、おはよー」

 席にいたレミが、私を見つけて微笑む。

「明日からついに夏休みだね」

「うん」

 星柄のシュシュをつけたカバンは、筆記用具しか入っていない。

 いちばん後ろの席につき、私は机に入れっぱなしだった下敷きで顔をあおいだ。ここのところ、太陽は朝から容赦ない。

「レミは予定あるの? 夏休み」

「明日から家族旅行だよー」

 スマホをいじりながら答えると、レミは急に身を乗り出した。

「ちーちゃん、見て見て」

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