キミが泣くまで、そばにいる
逃げ場を失って、身体の内側を冷たいものが下りる。それでも、私は声を絞り出した。
「強がって、ない」
「足、こんなに震えてんのに?」
太もものあいだに膝が割り込んできて、ぎょっとした。
これじゃ身動きが取れない。
「やっ、ちょ」
「佐久センと、いつから付き合ってんの?」
“壁ドン”よろしくアカツキが私の顔の横に手をついた瞬間――、
ピッ、ガタン。
自販機が身を震わせて、アカツキがあわてたように手を離した。
「あ、やべ。『おしるこ』押しちゃった」
彼はその場にしゃがみこみ、取り出し口に手を突っ込む。
それはつまり、私の足のあいだに手を伸ばしているということで……。
硬直していると、小さな顔が上を向いた。
「このミスったやつ、トワのぶん――あ」
「ひゃああっ!」
反射的に足が動いた。