キミが泣くまで、そばにいる


 アカツキは相変わらず笑ってる。

 ずっと刺さっていたトゲがようやく抜けたみたいな、すっきりした笑顔だった。

「レミ、なんかわかるなぁ。微笑み王子がちーちゃんに目をつけた理由」

 私の視線を追って、美少女は吐息をこぼした。

「ちーちゃんて、あけっぴろげなんだよね。見てて面白いのはもちろんだけど、一緒にいると、なんかほっとする」

「ほっと、する?」

「うん。いつも感情むき出しだから、見てて飽きないっていうか。次はなにやるんだろってハラハラするっていうか、楽しみっていうか」

「え……それもう、芸人を見る目だよね」

「あはは。でもね、ちーちゃんといると、自分が強くなったような気になれるんだよ」

「強く……?」

 レミの声を聞きながら、私は微笑み王子を見やった。

 取り巻きの女の子たちと楽しそうに笑っている彼は、どこか吹っ切れた顔をしている。

 なんだか、眩しい。

 机に目を落とし、カバンにつけたシュシュを見る。

 夜明けの空を思わせる、青のグラデーション。

 腕にはめると、星のチャームがきらりと光った。

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