キミが泣くまで、そばにいる


「そう。結構でかい花火大会なんだよ」

 優しく表情を崩して、微笑み王子は言う。

「一緒に行こう」

 未開封のイチゴミルクを、ぎゅっと握った。

 左手首のシュシュがさらりと星を揺らす。

「それは、命令?」

「え?」

「ご主人様の、命令なの?」

 きょとんとした顔で私を見て、アカツキは視線を逸らした。

「あ、いや……うん」

「……わかった。じゃ、ホームルーム始まっちゃうから、戻ろう」

「え」

 廊下に向かおうとしたら、

「知紗、ちょっとまって」

 後ろから手を取られた。

「なんか――」

 言いかけて、私の手首を見る。それから嬉しそうに笑った。

 青色のシュシュは涼しげに、私の左手を飾っている。


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