キミが泣くまで、そばにいる


「え……」

 私はレミの涼しげな瞳を見つめた。

 アカツキの弱みなんて、考えたこともなかった。

 長いまつ毛に縁取られた丸い目をぱちぱち瞬きながら、彼女は続ける。

「なんて言うんだっけそういうの。ことわざあったよね。えーと……目には目を、歯には歯を?」

「なるほど! 目撃されたなら目撃し返して、噛みつかれたら噛みつき返せってことだね!?」

「えっ、そうだっけ……まあ、いっか」

 細い首をかしげているレミが、まるで女神のように見えた。

 そうだ。アカツキの弱みを握れば、私と彼の立場は対等になる。

 そうすれば、もう犬みたいに付き従う必要もなくなるのだ。


 暗雲が立ち込めていた高校生活に一筋の光を見出すと、ここのところ味気なく感じられていたお弁当が、一気に豊かな味わいに変わったのだった。


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