キミが泣くまで、そばにいる
「ご、ごめん。私用事ができちゃったから、先に行ってて?」
「はあ? なんだそれ」
振り返ったセイは眉を歪めている。
「そんなこと言ってお前、俺へのプレゼントを横取りする気だな!」
「そ、そんなわけないでしょ!」
思いもよらないことを言われて驚いている私を、セイは疑わしそうに見下ろした。
「怪しいなちィ。さては、これが目的で俺の周りをうろちょろしてやがったな」
「な、なにを言って……セイの周りなんかうろちょろしてないし! アカツキがいるから仕方なく……」
「まあまあ、いいじゃんセイ。知紗にもいろいろあるんだろうし」
私の手から紙袋をひょいと取り上げて、微笑み王子はにこやかに笑う。
「たまには自分で持ってもバチはあたんないって」
袋をセイに手渡すと、マッシュカットの髪をさらりと揺らして振り返った。