キミが泣くまで、そばにいる


 イケメンの寄せ集めはそれぞれ個性が激しい。性格も様々で何かと衝突しそうなのに、あの5人は昼休みや放課後、よく一緒にいる。

 セイが結成したからといってほかの4人がセイに媚びへつらうことはなく、逆にわがままなセイをたしなめたり、時には喧嘩をしたりしながら、なんだかんだで仲がいい。

 まあ、中学から一緒だというアカツキは特に、セイと気心の知れた仲なのかもしれないけど。

「なんて、考えてる場合じゃなかった」

 私はスマホを握り直して、下校する生徒で賑わう廊下をとなりの棟に向かって走った。

 渡り廊下を抜けると、生徒の数が一気に減る。自分の足音が廊下に響き渡り、私は歩調を緩めた。

 早足で職員室の前を通り過ぎ、階段をのぼり、しんと静まり返った廊下の真ん中で立ち止まる。

 目の前の扉には『数学科準備室』と書かれている。

 はやる心臓を落ち着けるように、ゆっくりと2回、ノックした。

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