キミが泣くまで、そばにいる


 学校ではなるべく会わないようにしていたし、『準備室に来られる?』なんて呼び出しははじめてだったから、ちょっと嬉しい。

 ふたりだけで顔を合わせると、周囲の目が気になってそわそわするけれど、胸の高鳴りはおかまいなしだ。

「話をね、ちょっと……しようと思って」

「話?」

 先生はやさしげに眉を下げた。

 佐久田先生は可愛い顔をしている。といっても、アカツキみたいに整ってるというわけじゃない。

 目は一重で小さめだし、顔全体のバランスを考えると鼻と唇が大ぶりだ。でもどことなく小動物っぽい可愛さがあるのは、黒目がとても大きくてつぶらな瞳をしているせいかもしれない。

 先生の顔を見てると、すごく安心する。

 先生がいれば、私はまっすぐ歩ける。
 どんなに風が強くても、誰かに足を引っ張られても、そこに先生がいてくれるだけで、私は前に向かって進むことができるのだ。

 抱きつくと、白衣から日向の太陽みたいな匂いがした。

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