キミが泣くまで、そばにいる


「冗談だって知紗。普通の毛糸パンツだったもんな」

「違う! 普通の生地の水玉だったし! はっ!」

 何のカミングアウトをしてるんだろう私!

「ぎゃはは、チーコおもしれー」

 ソファの座面をバンバン叩きながら笑っているトワくんを見て、落ちるように椅子に戻った。

「ほんとに、もう」

 こんなふうに、私はいつもおもちゃにされている。

 放課後の時間を持て余すように毎日同じお店に集まる彼らは、アプリのゲームをしたり、どうでもいい話をしたりしながら過ごしている。

 そのなかに女子ひとりで放り込まれて、場違い感がすさまじい。

 私、いったい何してるんだろ。
 貴重な青春の一ページを、こんなところで無駄に埋めてていいのかな。

 ため息をついていると、となりのアカツキがおもむろにカバンから教科書を取り出した。

「あれ、勉強するの?」

「ん、中間テストも近いし」

 そういえば、さっきから高槻くんもひとりで教科書と向き合ってる(全然集中してなさそうだけど)。

 トワくんがストローをぴんと弾いてつまらなさそうにつぶやいた。

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