キミが泣くまで、そばにいる


「出たよエリートくん。レオは教科書読んでるようで実はトリップしてるだけだけど、アカツキは――」

「なートワ、これどう思う? ひどくね?」

 セイが横から暴力的な勢いで肩を叩き、トワくんの鼻にストローが突き刺さった。

「いってえ! なんだよセイ! 急に叩いてくんじゃねーよ!」

「俺という男がいるのに別の男と一緒に飲みに行くとか、どうなわけ? なあトワどう思う?」

 スマホの画面を見せながらセイがまくしたてると、トワくんはうんざりしたようにソファにもたれた。

「はあ、またアヤカさん? 気になるなら直接訊けばー?」

「『セイくんはまだ未成年だから飲みに行けないじゃーん?』とか言って、完璧ガキ扱いすんだぜ。そのくせ『若いから体力あるでしょ』とかいって夜もなかなか開放してくんねーし」

 セイは怒った顔から一転、頬をニヤけさせた。

「愚痴んのかノロケんのか、どっちかにしろよ……」

 疲れたように言うトワくんに、セイはマシンガンのごとくしゃべり立てる。

< 63 / 273 >

この作品をシェア

pagetop