キミが泣くまで、そばにいる
一方的な言葉の連射であまり会話になっていないけど、トワくんはあきらめたように金髪男の話を聞いていた。
イケメングループのトップに君臨するセイは、最近、女子大生と付き合いはじめたばかりらしい。
学校で可愛い女の子をチェックしているわりに、自分の彼女は校外につくっているのかと、最初に聞いたときは意外だった。
「もう年上の女サイコーだよ。アヤカに頼んでやるから、トワも紹介してもらえよ」
「はあ? 年上なんてどう付き合えばいいかわかんねーよ。何がそんなにいいわけ?」
「何って、普段きりっとしてるかと思えば甘え上手だし、はっきりしてるから何かと楽だし。男にリードを求めてくる女って面倒じゃん。その点、年上の女は心得てるっつーか」
話していて高ぶったのか、セイは「年上サイコー!」と店内に響き渡るような声で叫んだ。
そしてふたたびトワくんにノロケ話を浴びせかける。
私はそっと視線を移した。
テーブルに広げられた教科書とノートとルーズリーフ。目の前でセイが騒いでいても、アカツキはマイペースに勉強を続けている。