キミが泣くまで、そばにいる
つくづく不思議な人たちだなと思う。
一緒にいるのに、それぞれ独立しているというか……。
「あ、やば。切らしてんだった。知紗、赤ペンある?」
突然振り返ったアカツキとまともに目が合った。
間近で見ると、アカツキの目はぱっちりしていて本当に可愛い。
先生とは正反対の、絶対的な可愛さというか……って、なんで先生と比べてるんだろう!
「あ、う、うん。赤ペンね、あるよ」
何気なくアカツキのノートを見て、「あっ」と声が出た。
「それ、もしかして今日の数学の板書?」
「ああ、まあ」
「私今日、最後のほうが追いつかなくて――」
ペンケースを取り出しながら覗き込むと、アカツキのノートには黒のボールペンで文字や図形が書き込まれていた。
カバンから自分のノートを出してアカツキのノートと見比べる。
「え、多田先生、今日、黒板こんなふうに書いてたっけ?」
「あー俺、黒板をそのまま書いてるわけじゃないから」
同じ授業を受けたはずなのに、私たちのノートはまったく違っている。