キミが泣くまで、そばにいる
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きた。
終わりの時が、とうとう来てしまった。
廊下を行く細長い背中に従いながら、何を要求されるんだろう、と胸がさわぐ。
それでなくても今朝、私はびくびくしながら登校したのだ。
昨日のことが噂になっているかもしれないと、気が気じゃなかったから。
だけどそんな私の心配をよそに、教室にはいつもと同じ空気が流れていた。
クラスメイトたちはそれぞれ好きなようにおしゃべりをしていて、誰も私と先生のことを話している人はいなかった。
窓際の席についていた微笑み王子は、私を見ることすらなかった。
もしかしたら、黙っててくれるつもりなのかもしれない。
そんな希望を勝手に抱いていたけれど、やっぱり考えが甘かったらしい。
あのとき、中庭の隅で抱き合う私たちを見て、井端暁は確かに笑った。
微笑み王子なんて呼び名には似つかわしくない、黒い微笑で。
どうしよう。絶対におどされる……。